あなたは「ホームオブハートって何?」「Toshlの洗脳事件って結局どういうことだったの?」と気になったことはありませんか?ホームオブハートは、X JAPANのToshlが12年間にわたり洗脳されていたことで知られる自己啓発セミナー団体です。この記事では、ホームオブハートの設立経緯から事件の全貌、そして現在の活動実態まで詳しく解説します。ぜひ最後まで読んでください。
Contents
1.ホームオブハートとは?団体の設立経緯と活動内容

ホームオブハートの前身「レムリアアイランドレコード」の設立
ホームオブハートは、もともと「レムリアアイランドレコード」という名称で活動していた団体です。
1993年に鹿児島県屋久町で設立され、表向きはヒーリング音楽のCDを販売するレコード会社でした。
「レムリア」とは、アトランティス大陸と同じく伝説上の架空の大陸の名前です。
スピリチュアルな響きを持つこの名前を掲げることで、癒しや精神世界に興味を持つ人々を引きつけていました。
1998年にX JAPANのToshlの洗脳騒動がメディアで報じられると、団体は名称を変更する必要に迫られます。
そして2001年頃に「株式会社ホームオブハート」に改称し、拠点も栃木県那須町へと移転しました。
主宰者MASAYA(倉渕透)の経歴と人物像
ホームオブハートの実質的な指導者は、MASAYA(本名:倉渕透)という人物です。
1957年に東京都港区で生まれたMASAYAは、もともとビジネスの世界で実績を積んでいた実業家でした。
19歳の頃に仲間と学生ツアー事業を立ち上げ、大手旅行会社と合併するなどの手腕を発揮しています。
その後、日本航空の資本を受けて会社を設立し、代表取締役に就任した経歴も持っています。
やがて音楽活動を始め、「ヒーリングミュージック」の作曲家・シンガーとして活動するようになりました。
テレビ番組のBGMにも楽曲が採用されるなど、一定の知名度がありました。
しかしその裏では、自らの楽曲を「聴くだけで癒される」と過大に宣伝し、自己啓発セミナーへの入り口として利用していたのです。
ヒーリング音楽と自己啓発セミナーの二本柱
ホームオブハートの活動は、大きく分けてヒーリング音楽の販売と自己啓発セミナーの開催という二つの柱で成り立っていました。
MASAYAが作る楽曲は「聴く人の心を浄化する」「魂を癒す」といった触れ込みで販売されていました。
CDの価格は一般的な音楽作品と比べて高額に設定されており、複数枚をまとめて購入させるケースも報告されています。
一方の自己啓発セミナーは、「本当の自分を見つける」「心の傷を癒す」といった謳い文句で参加者を募っていました。
セミナーは数日間にわたる合宿形式で行われ、参加費は数十万円から数百万円にも及ぶ高額なものでした。
さらにリゾート施設の会員権販売や岩盤浴器具の販売など、多角的にビジネスを展開していたことも特徴です。
栃木県那須への拠点移転と共同生活の実態
2001年に栃木県那須町へ拠点を移した後、ホームオブハートは本格的な共同生活体制に入ります。
那須町に複数の施設を構え、熱心なメンバーたちが集団で生活するようになりました。
共同生活では、MASAYAを頂点としたヒエラルキーが形成されており、メンバーは厳しい管理下に置かれていたとされています。
特に問題視されたのが、セミナー参加者が子どもを連れて入会し、子どもたちが施設内で共同生活を送っていたという点です。
この環境が後に「児童虐待問題」として大きな社会問題に発展することになります。
ToshlもX JAPANを脱退した後、この那須の施設で活動し、隣の黒磯町にはToshlの個人事務所「トシオフィス」も開設されていました。
2.X JAPANのToshlとホームオブハートの洗脳事件

Toshlがホームオブハートに入会したきっかけと元妻・守谷香の関与
X JAPANのボーカリストであるToshlがホームオブハートに関わるようになったのは、1997年頃のことです。
きっかけは、当時の妻であった守谷香(もりたに かおり)の勧めでした。
守谷香はもともとアイドル歌手として芸能活動をしていた人物で、MASAYAが主宰するセミナーに先に参加していました。
守谷香を通じてMASAYAの楽曲を聴いたToshlは、その音楽に深く心酔するようになります。
当時のToshlは、X JAPANでの活動に悩みを抱えていたとも言われており、MASAYAの「癒しの世界」に救いを求めたのかもしれません。
やがてToshlはMASAYAの影響を強く受けるようになり、1997年のX JAPAN解散の一因にもなったと広く報じられています。
洗脳の具体的な手口|フィードバックとマネートレーニング
ホームオブハートで行われていた洗脳の手口には、いくつかの特徴的な手法がありました。
代表的なのが「フィードバック」と呼ばれる手法です。
これは受講生の発言や行動に対して、激しく罵倒する「ネガティブ・フィードバック」と、一転して褒めちぎる「ポジティブ・フィードバック」を繰り返すものです。
この激しい感情の揺さぶりが、数日間の缶詰状態で行われることで、参加者にとって「つらかったが感動的な体験」として心に刻まれる仕組みになっていました。
もう一つの代表的な手法が「マネートレーニング」です。
夜中の2時や3時にまで及ぶ電話で受講生の金銭感覚を激しく批判し続け、睡眠時間を削りながら借金を奨励するというものでした。
| 手法 | 内容 | 目的 |
|---|---|---|
| ネガティブ・フィードバック | 受講生を徹底的に罵倒する | 自己肯定感を破壊する |
| ポジティブ・フィードバック | 一転して褒めちぎる | 団体への依存心を高める |
| マネートレーニング | 深夜の電話で金銭感覚を否定 | 高額な支払いへの抵抗感をなくす |
| 長時間の合宿セミナー | 数日間の缶詰状態 | 判断力を低下させる |
10億円以上の搾取と自己破産に至るまでの経緯
Toshlはホームオブハートに在籍していた約12年間で、総額10億円以上もの金銭を搾取されたとされています。
月に1,000万円を超えるとも言われたToshlの収入は、ほぼすべてがMASAYAやホームオブハート側に渡っていました。
Toshl自身は「この12年間、ホームオブハートの無償従業員にすぎなかった」と後に語っています。
一日も休まず働き続けたにもかかわらず、生活は友人に頼るほど困窮し、億単位の借金と税金だけが残るという状況でした。
さらに妻の守谷香とは10年前から実質的に夫婦関係が破綻しており、香は那須のホームオブハート施設でMASAYAとの共同生活を送っていたとされています。
2010年1月、Toshlは裁判所から自己破産手続きの開始決定を受け、約1億円を超える負債を抱えた状態で破産を申請しました。
2010年のToshl脱会宣言とX JAPAN再結成への影響
2010年1月18日、Toshlは記者会見を開き、ホームオブハートとの正式な決別を宣言しました。
会見では自己破産の事実に加え、守谷香との離婚調停を申し立てたことも明かされています。
Toshlは「自分と同じような被害者をこれ以上出したくない」という強い思いから、洗脳の実態を赤裸々に語りました。
2010年4月には、ホームオブハート被害対策弁護団長の紀藤正樹弁護士らとともに再び記者会見を開き、被害者への謝罪と今後の支援活動について表明しています。
なお、X JAPANは2007年に再結成を果たしていますが、Toshlが完全にホームオブハートから脱したのはその後のことでした。
2014年には自叙伝『洗脳~地獄の12年からの生還~』を出版し、ベストセラーとなりました。
この本を書くきっかけは、偶然訪れた店でMASAYAの音楽が流れているのを耳にし、「自分と同じ被害者を二度と出してはいけない」と決意したことだったと言われています。
3.ホームオブハート事件の全貌|児童虐待問題と裁判の経過
2004年の児童一時保護と児童虐待疑惑の発覚
2004年4月、栃木県県北児童相談所が、ホームオブハートの施設内にいる1歳から15歳の児童5人を一時保護しました。
さらに1人が調査対象とされ、団体が児童虐待(児童福祉法違反や監禁罪)を行っている可能性が浮上しました。
この事件は、ホームオブハートを脱会した母親たちが「我が子を返してほしい」と紀藤正樹弁護士に相談したことがきっかけで発覚しています。
セミナー参加者が子連れで入会し、子どもたちは施設内でMASAYAの管理下に置かれていたのです。
報道ではワイドショーなどでも大きく取り上げられ、X JAPANのToshlが関与する団体ということもあって、世間に大きな衝撃を与えました。
なお、栃木県は最終的に「虐待ではない」としましたが、この判断については現在も議論が残っています。
元受講生らによる損害賠償請求訴訟と判決内容
児童問題と並行して、ホームオブハートの元セミナー受講生が消費者被害として損害賠償請求訴訟を起こしました。
2007年2月26日、東京地裁(野山宏裁判長)は、ホームオブハート側に約1,500万円の賠償金の支払いを命じる判決を下しています。
この裁判では、ある女性がセミナーに参加した結果、家庭・財産・精神を失うまで追い込まれたとして賠償を求めたものでした。
判決では、ホームオブハートが「癒しの商品やサービスを提供する会社であるかのように装い」、悩みを抱えた女性に接近して個人情報を聞き出し、セミナーへ誘導する手口が詳しく認定されています。
ホームオブハート側は「セミナー参加や商品購入は本人の自由意思によるもの」と主張しましたが、裁判所はこの主張をことごとく退けました。
その後の控訴審(東京高裁)でも、賠償額は約1,580万円に増額され、被害者側のほぼ全面勝訴となっています。
紀藤正樹弁護士への逆訴訟(SLAPP訴訟)の問題
ホームオブハート事件の特徴の一つが、被害者側を支援する弁護士や関係者に対して、ホームオブハート側から多数の「逆訴訟」が提起されたことです。
これはいわゆるSLAPP訴訟(恫喝訴訟・いやがらせ訴訟)と呼ばれるものです。
具体的には、児童虐待を通報した紀藤正樹弁護士や、被害者代表の山本ゆかりさんに対して、MASAYAやToshl(当時)が名誉毀損で訴えを起こしました。
さらにToshlの事務所「トシオフィス」が紀藤弁護士や被害者らを営業妨害・名誉毀損で訴え、弁護士会への懲戒請求も申し立てるなど、合計10件以上の訴訟が乱発されました。
これらの訴訟は、被害者の告発活動を萎縮させることを狙った恫喝的な性格を持つものとして、法律の専門家からも強い批判を受けています。
なお、弁護士会は紀藤弁護士に対する懲戒請求を「懲戒しない」と決定しています。
裁判の和解成立とその後の法的評価
2010年にToshlが脱会を宣言した後、事態は大きく動きました。
2010年2月、ホームオブハート側から突如として和解の打診がありました。
当初、被害者側は和解に応じるつもりはありませんでしたが、ホームオブハート側は以下の条件を提示してきました。
- 被害者や紀藤弁護士を訴えている訴訟をすべて取り下げる
- 紀藤弁護士への懲戒請求を取り下げる
- 消費者被害者5人に対して、被害実損害額に約2割を上回る金額を支払う
この提案は、これまで「被害告発はでっちあげ」と主張してきたホームオブハート側が、事実上自らの非を認めたことを意味します。
最終的に和解が成立し、ホームオブハートに関する一連の裁判はすべて終結しました。
この事件は、自己啓発セミナーによる消費者被害やSLAPP訴訟の問題を社会に広く知らしめる重要なケースとなりました。
4.ホームオブハートの現在|MASAYAはMARTHに改名して活動継続中

MASAYA(MARTH)の現在の活動拠点と事業内容
裁判の和解後、MASAYAは「MARTH(マース)」と名前を変えて活動を続けています。
活動拠点は栃木県那須町から関西方面に移転したとされ、以前のような大規模な共同生活の実態は確認されていません。
MARTH名義では、YouTubeチャンネルでの動画配信やヒーリング音楽の販売を続けていたことが確認されています。
また、一時期は「TAKERU(タケル)」という別名義でも音楽活動を行っていました。
さらに、健康グッズの販売、スピリチュアル商品の通販、リゾート会員権の販売なども引き続き行われているとされています。
Toshlの元妻・守谷香をはじめとする元ホームオブハート幹部が、関連する会社の経営に携わっているとも報じられています。
コンフォート社など関連会社の存在と名称変更の背景
ホームオブハートの活動は、「コンフォート社」をはじめとする別会社に引き継がれたと見られています。
コンフォート社の代表には守谷香が就任しており、MASAYAが直接表に出ない形で組織が運営されている構造です。
ただし、コンフォート社の顧問弁護士は「ホームオブハートとコンフォート社は全く別物」と主張しています。
このように名称を変えながら活動を継続するパターンは、ホームオブハートに限らず、問題のある自己啓発セミナー団体に共通して見られる特徴です。
紀藤弁護士も「彼らは表向きではホームオブハートという名称を使わずに活動を続けています。いろいろなところに入口があるのでご注意いただきたい」と注意喚起を行っています。
事件から30年近くが経過し、風化しつつあることも危惧されており、過去の被害を教訓として語り継ぐことの重要性が指摘されています。
同じ被害に遭わないために知っておくべき自己啓発セミナーの危険サイン
ホームオブハート事件は、自己啓発セミナーがカルト化した典型的な事例です。
同じような被害に遭わないために、以下のような危険サインを知っておくことが大切です。
- 無料や低価格で誘い、後から高額コースを契約させようとする
- 「今決めないと損」「このチャンスは二度とない」と判断を急がせる
- 長時間の合宿で睡眠や食事を制限し、判断力を低下させる
- 「家族や友人はあなたの成長を妨げている」と既存の人間関係を否定する
- 団体内のコミュニティへの依存を強め、外部との接触を制限する
- 教祖的な人物への絶対服従を求め、疑問を持つことを許さない
- 借金してでもセミナーや商品を購入するよう促す
「自分を変えたい」「成長したい」という気持ちは決して悪いことではありません。
しかし、<span style="color:red">その純粋な気持ちにつけ込む悪質な団体が存在する</span>ことを忘れてはいけません。
少しでも不審に感じたら、消費者ホットライン(188番)や最寄りの消費生活センターに相談することをおすすめします。
まとめ
- ホームオブハートは、MASAYA(倉渕透)が主宰した自己啓発セミナー団体であり、前身は「レムリアアイランドレコード」である
- X JAPANのToshlは元妻・守谷香の勧めで入会し、約12年間にわたって洗脳状態に置かれていた
- 洗脳の手口には「フィードバック」や「マネートレーニング」など、心理的に追い詰める巧妙な手法が用いられた
- Toshlは総額10億円以上を搾取され、最終的に自己破産に追い込まれた
- 2004年には那須の施設から児童5人が一時保護され、児童虐待問題として社会的に大きな注目を集めた
- 2007年の東京地裁判決では、ホームオブハート側に約1,500万円の損害賠償が命じられた
- 被害者や弁護士に対するSLAPP訴訟(恫喝訴訟)が多数提起されたことも大きな問題となった
- 2010年にToshlが脱会し、全裁判が和解で終結した
- MASAYAは現在「MARTH」に改名し、関西を拠点に活動を続けているとされる
- 自己啓発セミナーの被害に遭わないためには、高額請求・人間関係の遮断・判断を急がせるなどの危険サインを知っておくことが重要である
ホームオブハート事件は、自己啓発セミナーの危険性を世間に知らしめた象徴的な出来事です。
「癒し」や「自分探し」を求める気持ちは誰にでもありますが、その心の隙間につけ込む団体が今も存在する可能性があります。
過去の事件から学び、正しい知識を持つことが、自分自身と大切な人を守る最大の武器になります。
ぜひこの記事の内容を心に留めて、冷静な判断力を持ち続けてください。
関連サイト: 消費者庁
